JAXA、天の川銀河中心の低エネルギーガンマ線を世界初の直接撮像に成功
JAXAなどは2026年10月6日、天の川銀河中心の低エネルギーガンマ線を直接撮像したと発表した。背景雑音で捉えにくかった放射を、大気球の観測データから画像化した。JAXAによると世界初の成果だ。
- ●JAXAによると、銀河中心の低エネルギーガンマ線を世界初の直接撮像
- ●大気球観測実験「SMILE-2+」のデータを解析
- ●放射強度は従来の観測値の約2倍だが、誤差の範囲内で一致
宇宙に関心がある人にとって、これまで捉えにくかった銀河中心の放射を画像として調べる研究成果だ。
次の観測実験「SMILE-3」の準備が進み、銀河中心の放射がどこから生じるのかを調べる手掛かりが増える可能性がある。
JAXAなどは2026年10月6日、天の川銀河中心のガンマ線観測成果を発表した。JAXAによると、低エネルギーガンマ線を世界初の直接撮像で捉えたという。
推定していた放射を画像にした
今回の成果は、銀河中心からの放射を画像として捉えたことだ。撮像したガンマ線のエネルギー範囲は150〜600 keV。keVはエネルギーを表す単位で、この数値は観測した範囲を示す。
低エネルギーガンマ線は、背景雑音が大きい。従来は直接撮像が難しく、雑音や銀河中心の放射をモデル化して推定していた。つまり、放射や雑音の様子を仮定したうえで、観測結果を読み解いていた。
JAXAは今回、光学望遠鏡と同じ原理で放射を画像化したとしている。放射強度は従来の観測値の約2倍だった。ただし、誤差の範囲内で一致するという。放射が従来の理解より明確に強かったと断定する結果ではない。
かんたんに言うと、来た方向をたどる
観測に使ったのは、電子飛跡検出型コンプトンカメラ「ETCC」だ。散乱した電子の軌跡を調べる観測装置である。JAXAによると、その軌跡からガンマ線が来た方向を特定できる。
たとえるなら、残された足跡をたどり、どちらから来たのかを調べる方法だ。ETCCでは、足跡に当たるものが電子の軌跡となる。
今回のポイントは、ガンマ線を捉えるだけではない。どの方向から来たのかを調べ、銀河中心の放射を画像化した点にある。背景雑音が大きく、直接撮像が難しかった対象で成果を得たという発表だ。
日本の研究機関が観測と解析に参加
研究には北里大学、産業技術総合研究所、京都大学、JAXAが参加した。解析に使ったのは、大気球観測実験「SMILE-2+」のデータだ。
SMILE-2+は2018年にオーストラリア中央部で打ち上げられた。観測期間は約1日間だった。大気球による飛翔機会は、JAXA宇宙科学研究所が提供した。
研究論文は2026年8月、米国物理学会のPhysical Review Dに掲載された。今回の発表は、過去の気球観測で得たデータを解析した研究成果である。
まとめ
今回は、捉えにくかった銀河中心の放射を直接撮像した成果だ。JAXAは、暗黒物質や原始ブラックホールなど、未知の起源の検証につながることを期待している。
感度を改善したETCCを使う次の観測実験「SMILE-3」の準備も進んでいる。JAXAが2028年に実施予定の次期豪州気球実験の候補だ。次の観測はまだ候補段階だが、放射の起源を調べる手掛かりが増える可能性がある。