Google DeepMindのAI 4体が協力してマインクラフトをクリア 27時間14分、役割は自分たちで分担
Google DeepMindの研究者が、AIのエージェント4体がチームを組み、人の手を借りずに「Minecraft」を最後までクリアしたとする論文を公開した。役割は4体が自分たちで分け、27時間14分で最後のボスを倒した。周りの様子を正確に教える道具を使い、難しさは「イージー」だったなど、限界も示している。
AI- ●Google DeepMindの研究者が、AIのエージェント4体が人の手を借りずにMinecraftをクリアしたとの論文を公開した
- ●役割は4体が自分たちで分け、27時間14分で最後のボスを倒した。書いたプログラムは2,783本、倒された回数は605回
- ●周りの様子を正確に教える道具を使い、難しさはイージーだった。最初に試した1回だけの結果でもある
AIに長い作業を任せたいと考えている人には、目安になる研究だ。役割を分ける、気づいたことをメモに残して共有する、別のAIに結果を確かめさせる、という進め方は、仕事でAIのエージェントを使うときにも取り入れやすい。ただ、失敗の多さや条件の甘さもあり、そのまま人の代わりになるとまでは言えない。
論文は、Minecraftのクリアに要る、長い時間にわたる計画と連携は、実際のソフトウェア開発や企業の仕事にも求められるとしている。画面を見てキーボードとマウスで遊ぶのは、まだずっと難しいとも書いており、より人に近い条件でどこまでできるかが次の焦点になりそうだ(TECHNOVAの見方)。
Google DeepMindの研究者は2026年10月15日、AIのエージェント4体がチームを組み、人の手を借りずに「Minecraft(マインクラフト)」を最後までクリアしたとする論文を、論文の公開サイトarXivに出した。最後のボス「エンダードラゴン」を倒すまでにかかった時間は、27時間14分だった。
何をしたのか
エージェントとは、目標を与えると、自分で手順を考えて道具を使い、作業を進めるAIのことだ。今回は、GoogleのAIモデル「Gemini 4 Argon」で動く、ふだんはプログラムを書く仕事に使う汎用のエージェントを4体使った。Minecraft専用に作ったものではない。
論文によると、条件は次のとおりだ。
- 目標は1つだけ: 新しく作った世界で、エンダードラゴンを倒すこと。役割の分担や攻略の手順は、人が決めていない
- 画面を見ずに遊ぶ: エージェントは、画面を見たりキーを押したりしない。「この座標まで歩いて、半径16ブロック以内の鉄鉱石を全部掘る」といった短いJavaScriptのプログラムを書いて動かし、返ってくる位置や体力、持ち物、エラーの文字を読んで、次のプログラムを書く
- 使った道具: プレイヤーの操作をプログラムで行える公開のライブラリ「Mineflayer」と、その道を探す機能だけ。人が書いたゲーム専用の道具は足していない
- ゲームの設定: Minecraft Java Editionのバージョン1.20.4のサバイバルモードで、難しさは「イージー」。地形は無作為に作り、チートのコマンドは使えないようにした
4体はどう動いたか
始まって10分で、1体がチャットで役割の分担を持ちかけた。1分足らずで別の1体が違う案を出し、役割はすぐに決まった。食料や寝床の材料を集める係、ダイヤモンドを探す係、鉄の道具を作る係、ネザー(別の世界)への入り口を作る係だ。
4体は、チェストや危ない場所の座標をチャットで伝え合い、気づいたことを共有のメモに残した。仲間が倒れると、落とした持ち物を拾いに行った。1体が「成功した」と伝えたあとで、実はプログラムの誤りだったと2分後に自分で訂正した場面もあったという。
いちばん時間がかかったのは、最後のエンダードラゴンとの戦いだ。ここだけで14時間近くかかり、ドラゴンに69回倒された。始まって約21時間後、1体が、柱の上の10個のクリスタルがドラゴンの体力を回復させ続けていると気づき、土を積んで柱を登り、素手で壊す方法を見つけた。4時間40分かけて10個すべてを壊し、その39分後にドラゴンを倒した。
| 数字 | 内容 |
|---|---|
| 27時間14分 | 最初のプログラムからドラゴンを倒すまで |
| 2,783本 | 4体が書いて動かしたプログラム |
| 229通 | チャットでのやり取り |
| 605回 | 倒された回数(モンスターに351回、ドラゴンに69回など) |
論文は参考として、人がメインのストーリーを終えるまでの時間の中央値が45時間(HowLongToBeat調べ)、無作為の地形でのスピードランの記録が7分未満だと紹介している。
ずるをしていないか、見張り役も
5体目のエージェント「Observer」は、ゲームには加わらずに見張り役を務めた。プレイヤーの報告を記録と照らし、評価の穴をつくような「ずる」がないかを確かめた。Observerも、研究者による記録の確認も、そうした行為は見つけなかったという。研究者は画面で様子を見ていつでも止められたが、止める必要はなかったとしている。
費用の見積もりも出ている。ドラゴンを倒すまでに使ったAIの処理は、Gemini 4 Argonの公開の値段(導入時の値段)で約520ドル、通常の値段で1,040ドル。見張り役なども含めた全体では約810ドル(通常の値段で1,620ドル)だった。実際にAIを動かした原価ではなく、値段表から出した見積もりだ。
割り引いて見たい点
論文は、限界もはっきり書いている。
- 見えないものも分かる: Mineflayerは、岩の向こうにあるブロックや、ドラゴンの内部の状態まで、周りの様子を正確に教える。人なら目で見て判断するか、そもそも分からない情報だ。画面を見てキーボードとマウスで遊ぶのは、まだずっと難しいという
- 難しさはイージー: モンスターの攻撃は弱く、空腹で倒れることもない
- もともと知っていた: Gemini 4 Argonは、学習したデータからMinecraftやMineflayerについて多くを知っている。初めて見るゲームを遊べるかを試したものではない
- 失敗も多い: 書いたプログラムの22%はエラーで終わった。ゲームのサーバーも6回再起動した
- 1回だけの結果: 最初に試した1回の記録で、何度やっても成功するかは分からない
論文は、MojangやMicrosoftの承認を受けたものではなく、両社とは関係のない研究だとしている。
かんたんに言うと
4人で、初めての大きな引っ越しをするようなものだ。誰が何を運ぶかを自分たちで決め、「この階段は狭い」と気づいたらすぐ全員に伝え、うまくいかなければ手順を直す。今回のAIは、その段取りを1日以上、人の手を借りずに続けられた(TECHNOVAの見方)。
なぜ大事なのか
研究者がねらうのは、ゲームの腕前ではない。論文は、クリアには、互いに関係する何千もの手順にわたって、1日以上筋の通った計画を保つ必要があるとする。実際のソフトウェア開発や企業の仕事にも、同じように長い時間のプログラム作りと、複数のエージェントの連携が求められるという。
いまのAIは、短い質問に答えたり、1つのプログラムを書いたりするのは得意になった。一方で、何時間もかかる仕事を任せると、途中で迷ったり、失敗を引きずったりしやすい。今回の結果は、失敗を書き留めて決まりに変え、仲間と分担すれば、長い仕事を最後までやり切れる場合があることを示した(TECHNOVAの見方)。
仕事でAIのエージェントを使うときにも、参考になる点がある。役割を分ける、気づいたことを共有のメモに残す、別の見張り役に結果を確かめさせる、の3つだ(TECHNOVAの見方)。
日本ではどうなるのか
今回は研究の発表で、誰かがすぐに使える新しいサービスではない。エージェントを動かしたGemini 4 Argonは、GoogleがAIの開発の道具「Antigravity」などで順に提供している(関連記事: Google、AntigravityにGemini 4 Argonを順次提供開始)。
まとめ
Google DeepMindの研究者が、AIのエージェント4体が協力して、Minecraftを27時間14分でクリアしたと発表した。役割は自分たちで分け、失敗から決まりを作って進んだ。一方で、周りの様子が全部分かる道具を使い、難しさもイージーだったなど、条件には限界がある。長い仕事をAIのチームに任せられるかを見るうえで、目安の1つになりそうだ。
- Maxence Faldor、Satinder Singh、Roberta Raileanu(Google DeepMind)「A team of Gemini 4 Argon agents beats Minecraft」(arXiv、2026年10月15日)
- Numerama「Des agents IA de Google DeepMind ont bouclé Minecraft en 27 heures en se répartissant les tâches」(2026年10月19日)
- Xataka「Google DeepMind presume de haber batido a Minecraft con agentes controlados por Gemini 4 Argon en apenas 27 horas」(2026年10月20日)
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月20日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。