研究チームが幼児の記憶を追跡、幼い頃の記憶は取り出しにくい形で残ると結論
生後18〜24カ月の幼児を対象に、最長6カ月後まで記憶を追跡した研究がbioRxivに掲載された。研究チームは、幼い頃の記憶は単に消えるのではなく、取り出しにくい形で残ると結論づけている。
サイエンス- ●研究チームが生後18〜24カ月の幼児の記憶を追跡
- ●研究チームによると、幼児の4分の1近くは記憶の一部を保持
- ●幼い頃の記憶は取り出しにくい形で残ると研究チームが結論
幼い頃を思い出せない理由や、子どもの記憶の残り方が気になる人に関わる研究だ。
記憶が残ることと思い出せることを分けて調べる研究につながる可能性がある。
幼い頃の記憶を思い出せなくなる仕組みを調べた研究が、bioRxiv(研究原稿の公開先)にプレプリント(研究の速報原稿)として掲載された。研究チームは、幼い頃の記憶は取り出しにくい形で残ると結論づけたが、掲載日は資料に書かれていない。
幼児の記憶を追跡して分かったこと
ごく幼い頃の記憶を思い出せないことを「幼児期健忘」と呼ぶ。記憶がそもそも作られないのか、失われるのか、取り出せなくなるのかは未解明だった。
研究チームは、生後18〜24カ月の幼児を対象に出来事の記憶を追跡した。記憶を作る段階から、1日後と最長6カ月後に思い出す段階までを調べた。
研究チームによると、計算モデル(データを使って現象を分析する仕組み)で調べた結果、忘れ方は一様ではなかった。記憶全体を保つ場合と完全に失う場合は、同程度の確率だったという。また、幼児の4分の1近くは記憶の一部だけを保持していた。
記憶を作ったときの正確さは、1日後に記憶全体を保つかの予測に役立った。一方、最長6カ月後の記憶保持は、それでは予測できなかったとしている。
かんたんに言うと、保存と取り出しは別
たとえるなら、しまった物を見つけられないとき、物がなくなった場合と、置き場所が分からない場合がある。記憶も「思い出せない」という結果だけでは、残っていないのか、取り出せないのかを区別できない。
今回の研究では、思い出す際の脳波(脳の電気的な活動)の特徴も調べた。研究チームによると、幼児が行動で答える前に、その特徴から記憶全体を思い出すかを予測できた。ただし、一部だけを思い出すかは予測できなかったという。
研究チームは、こうした結果から、幼い頃の記憶は単に消えるのではなく、取り出しにくい形で残ると結論づけた。忘れ方をひとまとめにせず、全体が残る場合と一部が残る場合を分けて捉えた点が研究の要点だ。
日本では
日本との関わりは発表には書かれていない。今回の資料には、日本の機関や研究者が関わったかどうかの記載もない。
まとめ
今回の研究は、幼児の記憶の残り方が一様ではないと報告したものだ。記憶を作ったときの正確さだけでは、最長6カ月後の保持を予測できなかったことも示している。
思い出せないことと、記憶が失われたことを分けて調べる視点は、幼児期健忘の仕組みを理解する手がかりになる可能性がある。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月20日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。