アイビスペイントの会社が無料のオフィスソフト「ibisOffice」を公開 Word・Excel・PowerPointの文書を開いて編集
お絵描きアプリ「アイビスペイント」のアイビスは10月12日、Word・Excel・PowerPointの文書を開いて編集できる無料のオフィスソフト「ibisOffice」を公開した。Microsoft Officeと同じ見た目で表示することを目指し、WindowsとMac、ブラウザで使える。製品に組み込む企業向けには有償のライセンスもある。
IT- ●Word・Excel・PowerPointの文書を、1つのアプリで開いて編集・保存できる
- ●Officeと同じ見た目になるよう、7万を超える試験で画素の単位で比べている
- ●個人は無料。WindowsとMacのアプリと、インストール不要のWeb版がある
Officeを持っていないPCで、届いたWordやExcelの文書を開きたいときの選択肢が1つ増えた。まだ版は0.8で、対応していない機能もあるので、大事な文書は控えを取ってから試したい。
アイビスは、自社のファイルの保存のサービス「ibisStorage」でOfficeの文書を見たり編集したりできるようにする予定だ。Linux版や、複数の人が同時に編集できるサーバー版も目指している。
お絵描きアプリ「アイビスペイント」で知られるアイビスは、Word・Excel・PowerPointの文書を開いて編集できる無料のオフィスソフト「ibisOffice(アイビスオフィス)」を、2026年10月12日に公開した。ソースコードを公開するオープンソースのソフトで、WindowsとMacのアプリのほか、ブラウザで動くWeb版もある。
何が発表されたのか
ibisOfficeが目指すのは、「Microsoft Officeで作った文書を開いても、見た目が崩れない」ことだ。行の折り返しやページの区切り、表の罫線、グラフの目盛りまで、Officeと同じになるように作っているという。主に次の機能に対応する。
| 種類 | 主な機能 |
|---|---|
| 文書(Wordの.docx) | 段落とスタイル、箇条書き、表、段組み、縦書き、ルビ、脚注、ヘッダーとフッター、ページ番号・目次、図形・画像・グラフ |
| 表計算(Excelの.xlsx) | 数式と関数の計算、条件付き書式、並べ替え、ピボットテーブル、グラフ、入力規則、シートの保護 |
| プレゼンテーション(PowerPointの.pptx) | 図形・表・グラフ・SmartArtの表示と編集、アニメーション、スライドショーと発表者ビュー、動画・音声、コメント |
マクロ付きのファイル(.docm・.xlsm・.pptm)も開いて保存できる。ただし、マクロは動かさずに、そのまま残す。
見た目が同じかどうかは、測って確かめているという。本物のWord・Excel・PowerPointが書き出したPDFとibisOfficeの画面を、7万を超える試験で、画素の単位で比べている。保存したファイルは、Officeで修復せずに開けることも確かめている。
ソフトはすべてプログラミング言語「Rust」で書かれ、画面はGPU(画像の処理が得意な部品)で描く。
使える環境と料金
| 形 | 動く環境 |
|---|---|
| Windowsのアプリ | Windows 11以降(64ビット) |
| Macのアプリ | macOS 11以降(Appleシリコンの機種) |
| Web版 | インストール不要。WebGPUに対応したブラウザ(Chrome・Edge・Safari 26以降) |
12日に公開した最初の版0.8.0はMacだけだったが、同じ日の0.8.1でWindows版と、自動で更新する機能が加わった。Web版は、手元のファイルを開くとき、文書の中身をサーバーに送らないという。
ライセンスは2つから選べる。オープンソースのライセンス「AGPL-3.0」では、無料で使い、手を加え、配ることができる。ただし、手を加えたものを配ったり、Webのサービスとして人に使わせたりするときは、ソースコード全体を公開しなければならない。この義務を負わずに自社の製品やサービスに組み込みたい企業向けには、有償の商用ライセンスがある。条件と価格は問い合わせになる。
開くまでの速さ
アイビスは、ファイルを開いて最初の画面が出るまでの時間を、ほかのオフィスソフトとくらべた結果も出した。
| ファイル | ibisOffice | Microsoft Office | LibreOffice | ONLYOFFICE |
|---|---|---|---|---|
| プレゼンテーション(31枚、35.9MB) | 0.59秒 | 2.16秒 | 4.40秒 | 4.75秒 |
| 文書(英文140〜154ページ) | 0.45秒 | 1.11秒 | 1.70秒 | 3.15秒 |
| 表計算(22シート、数式58.9万個、13.7MB) | 0.52秒 | 14.07秒 | 6.82秒 | 9.36秒 |
これは会社が自分で測った数字だ。GitHubの説明によると、MacのApple M2 Proの機種で、開発中の版を使い、それぞれ1回ずつ測った。
なぜお絵描きアプリの会社が作ったのか
アイビスは、ファイルを保存・共有するサービス「ibisStorage」を提供している。そこでOfficeの文書を、速く正確に、サーバーに負担をかけずに見たり編集したりできるようにする必要があり、それが開発のきっかけになった。今後、ibisStorageの上で、Word・Excel・PowerPointの文書を見たり編集したりできるようにする予定だ。
社長の神谷栄治氏は「日本のIT貿易赤字を減らしたい、IT自給率を上げたい」とコメントした。日本の企業や行政機関が、米国製の仕事のソフトに頼る度合いを下げたいという。
かんたんに言うと
Officeを買わなくても、WordやExcel、PowerPointの文書を、Officeとほぼ同じ見た目で開いて直せるソフトが、日本の会社から無料で出た。インストールしなくても、ブラウザで試せる。
日本ではどうなるのか
日本の会社が作ったソフトで、日本語の縦書きやルビにも対応する。ただ、まだ版は0.8で、GitHubの機能の一覧では、Excelでの日本語の入力とふりがなが「一部」対応にとどまるなど、すべての機能がそろっているわけではない。会社の仕事で使うときは、大事な文書の控えを取ってから試したい。
まとめ
アイビスは、Word・Excel・PowerPointの文書を開いて編集できる無料のオフィスソフト「ibisOffice」を公開した。Officeと同じ見た目を目指し、WindowsとMac、ブラウザで使える。まだ0.8の版だが、Officeの文書を開く手段の1つとして試す価値はありそうだ。
チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月14日)
代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。